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夢のハワイ旅行
飯を喰っだり、一杯飲んだり、勘定は今日は俺が払う、いや私に払わせてと、譲り合わない二人・・・・帰りのタクシー代を貸して欲しいの申し出にはたじろぐ。

「憧れのハワイ航路」「トリスを飲んでハワイへ行こう!!」などなど・・・・・誰もが憧れる 「ハワイへ行きたい」という思いは向こうからやってきた。

いつだったかS君。ゴルフの帰路家に寄ってくれた。軽い食事と取り止めもない雑談。その際「ハワイのゴルフ場に会員の権利をもっていて、困っているという話」仔細を聞く。
マウイ島YLゴルフクラブのゴールド会員。母体は日本企業で1990年代、日本がバブル経済に浮かれはじめる時期に1500万円で公募された。(そういえば同グループのゴルフメンバーである私にも、そんな誘いがあった記憶はある)

12年据え置いて償還時期には「3000万円」になっているというのが歌い文句。右肩上がりの経済のただ中、その時は大勢の日本人がそうなると信じていた。要するにプレーを楽しむというよりは「投機」を目論んだものだった。平事ならばおかしなこのギャンブルこれに結構飛びついた。
ましてS君はハワイといえども海外はとんでもないというタイプだ。多少の余裕資金をお持ちだったから彼もはまった。

当時銀行金利が約6 %だったから、1500万円の6%、年率にして100万円相当を、会員がハワイで使うことができるという特典がついていた。後で分かったことだがこれを利用した人は年間で300人、家族を含むからメンバーはその1/3程度、正確な会員総数は分からぬとして、1000名で10%、2000名で5%ということになる。要するに特典はほとんど利用されていなかったことになる。
飲み食いや好きなものを買うために使うことはできないが、とにかくハワイへは行ける100万円・・・・・

「その権利を使ってもよろしい?」と私、S君が「どうぞ」
さすがに私の家族から「S君に悪いわ」というクレームが出る。

もしこの「特典」を使わなければ、その年の権利は自然消滅ということになって、クラブ側が得するだけで、会員側にその費用が返却されることはない。

「100万円をハワイで使おう?」 まだ疑問符のついていた嘘のような旅行、その年の特典が9月で切れるというので、嫌々のS君に友人M氏夫妻と我々夫婦の5名、五月の連休にすぐさま敢行した。さすがに行くまでの間、M夫妻からは「ホントにタダで行けるの」疑心暗鬼の打診しきり。旅行確認書が1週間前までとどかなかったからなおさら・・・・「私の面白すぎる話にだまされた・・・」とM氏の細君から苦情を受ける。

この旅行の中身がすごい。ホノルル空港でのVIP扱いの出迎えから始まって、カウアイ・マウイのゴルフツァー、最後のオアフ島ハレクラニホテルでの贅を尽くした滞在等々、現地担当者の細かな配慮、質・サービスとも高くこんな満足のいく旅行は過去になかった。
 
なによりも100万円を使い切るために苦労したという嘘みたいな話。たまたまM君が会社の役員食堂で先輩幹部にどこで休暇を過ごしたかと聞かれてこの事実を話したら「君の話しは面白いけど嘘が多すぎる」と一蹴された。書き出しのめし代をおごる話しとは次元が違いすぎるから誰だってそう思う。

もともと海外などからきし興味のないS君、肝心のメンバーがドロップして、旅はその後も続く。M夫妻に娘が加わって・・・・・最初のハワイ行きに比べたら「タダで行ける」不安はもうない。気分は既にハワイの空の色。次は誰誰が参加したいとメンバーか増える。3回目からは航空運賃だけは各自もち、滞在費とゴルフなど現地での全ての費用は100万円で賄う。使い手は少しタイトになったが充分にある。

肝心のS君、解約したいと思っても償還時期が来ていない。投機で買ったものでハワイに興味はない。本人にとって如何様にもならぬ代物、放っておく以外手はない。これを私たちが使った。
「毎年100万円のハワイ旅行が当たった」換金できない。条件は唯一現地で使う。次は誰と行こうか!!

世の中、嘘みたいな本当の話があるのだ・・・・・


*注 バブルといわれる経済の崩壊で、償還時期を待たずに損切りで、会員脱会すること止むを得ない状況が来た。

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