17) もう一杯 コーヒーを
もう一杯コーヒーをどうぞ・・・・・・
「スターバックス」、シアトルから来たコーヒーチェーンが、不況下の日本で快進撃。どんどん店数を増やしている。イタリアンコーヒーをベースに、蒸気でミキシングしたホイップミルクを加え、コーヒーが見えない紙容器で飲む。香りより味と食感に特徴があるように思える。コーヒーを飲まない女性に支持されているのを見ても、日本の喫茶店文化に風穴をあけたことは確かである。
食べ物の嗜好は人それぞれ、コーヒーのような嗜好品はことに難しい。ブルーマウンテンやキリマンジャロ、「香りと味」苦味・酸味に好みが別れる。また継続すると味に慣れ過ぎて、感激乏しく感じるのは、香水と似ている。両方とも香りを楽しむということでは同じかもしれぬ。時々変えて楽しみも倍加する。
楽しむコーヒーの世界、そんな日本で比較的知られていないのがハワイアンコーヒー。この方は香に特徴があって、フレーバーを加味したハワイのコーヒーはオリジナリティがあって、誰でもが識別できる。
アラモアナシヨッピングセンター1F 中央にコーヒー屋さんがある。馥郁たるハワイアンコーヒーの香が、通路まで立ち篭めるから、否応なく店の存在に気が着く筈だ。コーヒーを店頭で立ち飲みすることもできるが、本来は豆を売る店。コーヒー豆は格好のハワイ土産でもある。
「レコメンド」良く売れる種類、人気の品種を聞いて買い求める。少し高いがコーヒー通なら必ず虜になる。
北陸路の秋、黄金色の田園、自動車を止めてコーヒーを発てたOさん。こちらはコーヒー「おたく」と呼ばれる人がこだわるドリップル。道具一式自動車に常時積んである。電源は車のシガレットライターから、水を沸せてネルでコーヒーを漉す。野立てという日本茶の作法もある。コーヒーではダメということも無いだろう。稲穂を揺らして透明な風が脇を通り抜ける。
お湯がゆっくりコーヒーに染みてぽたぽた、褐色の液体が容器に序序に量を増す。畦に腰をおろして飲んだコーヒーの美味しさは忘れられない。その人も今年逝った。
年一回の温泉招待、忙しい時期芸子が居らずに、引退したおばあちゃんが代役で登場、宴席が終盤近くなって、接待する側のOサンは現地の人だから、いつもの馴染みの芸子がいて早々に部屋へ退散。される側のYくんとわたし、毎年手の早いY君、今年はその席で狸寝入りは、白々しくて何が何でもひどい。
残ったわたしとおばあちゃん芸者。「コーヒーを飲みに行こうよ」とわたしから誘う。考えてみれば北陸一流の料理旅館、頼めばコーヒーくらいは出るだろう。「どこか喫茶店がある?」心得た足取りで夜の帳が降りた温泉町を一直線に歩く。晩秋の北陸さすがに夜気が冷たい。浴衣に羽織の旅館の着物では冷える。深夜に近く到着した喫茶店は終っていた。仕方が無い。
はじめからコーヒーはどうでもよかった。その日相手にされない芸者に気まづい一瞬があって、とにかく外へ出た。鄙びた神社にボーツと裸電球の外灯がともっている。
「ここで待つとれ」と色気には程遠い言葉付きで彼女は消える。ほどなく戻ってきた彼女、缶コーヒーが二つ、社殿に背を向けて使い込まれた石段に腰をおろして、缶のふたをあける。コーヒーの香はほとんどしない。甘味とコーヒー飲料という風味が特徴で、普段は飲んだことは無い。暖かさが口中に広がる。彼女の風情は覚えていないのに、この時のコーヒーの思いでは鮮明だ。
少し甘さに苦味の交じったコーヒーの味は人生に似ている・・・
コーヒーにまつわる話は尽きない。ハワイには先に述べたスターバツクスの瓶詰めコーヒーがコカ・コーラから発売されている。この方はスマイルとメローなハワイの生活と同じくひたすら甘い。
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