30) かがり火
サンセツトを待つ。南国の夕日には力がある。「つるべ落とし」とは行かぬ。陽から何条かの光が波間にとどく。少しづつ少しづつ海に近づいて、海が黄金色に染まる。最後は海の彼方に「ジューツ」と音を立てて没する。
ハワイでは西に沈む太陽の行き先、日本への思いを馳せる。その日本にいたら日没をまじまじ眺める事はあまり無い。何となく陽が没する時間、ことに夏の終わりに近い季節などは、寂寥感がにじんできてあまり好きな時間ではない・・・・
2月のビーチには大平洋を渡りついたばかりの涼風が吹き抜ける。三々五々ただただ、ぼんやり日の沈むのをを眺めている現地人家族がいる。それぞれの家族の顔は夕日をうけて赤々と燃えている。しかし彼等が引きずる芝生に生えたような陰は長い。
浜辺をはだしで歩く。子供の頃の感覚が甦る・・・・日の出とともに起き、日が沈むのを待って1日を終える。というサイクルは人が元々備えもっていたリズムだろう。
ハワイはご承知の通り太平洋の真ん中の小島、海に囲まれての場所には違いない。しかし住んでみては空に囲まれてという実感の方が強い。その空と海から人の営みを教わる。そして地球から「気」をもらう。「人の幸せ・家族の幸せ」というのも究極こんな贅沢をいうのではないか。生きる上で多すぎるいろいろな「ものもの」に囲まれるつまらなさを・・・・・・
今年2月ワイフが階段を踏み外して数週間寝付く・・・・幸い骨に異常がないことが分かりこちらへ来ることを強行した。途中空港までと機内はビシネスクラスで「ほうほうの体」で到着した。いつもはキャンプインと積極的に体力維持に取り組むところだが今回はリハリビが中心だ。所が暖かい気候と環境が幸いして猛烈な回復力・・・・後で知ったが「筋肉と骨」の回復にビタミンDが効く。強い陽射は回復力を高めたはずだ。自然からの「パワー」と置き換えてもいいが、「気」に触れた思いでいる。
水平線に半分没した日の光りに、パームツリーの葉がおおきく風に揺れる。その度に陰の濃い部分と、金属色のひかりを受けた部分が、日没までの寸暇を踊る。
珍しく太陽が顔を出さぬ夕刻。日没が早いように思えるこんな日は早めに家で夕食をとる・・・・
ハワイへの機中3才の孫娘は「雲の絨毯が下に見える」とはしゃぐ。通常運行の飛行機は雲の上を飛ぶ。地上がどんな気象であろうと、雲の上ではいつも青い空だ。
飛行機に乗って経験することだが、・・・上昇時も下降時も暫くして雲の層を突き抜ける。雲の下地球との間に少しばかりの隙間、空間がある。われわれが日常「空」と見ている所だ。
食事をしながら窓外のヨットハーバーで不思議なことが起こる・・・
係留中の何百というヨットのメインポールが、一斉にキャンドルを飾ったように光を放っている。今までこんな光景を見たことは無い。瞬間ヨットクラブでのイベントかという思いが走ったが・・・どうしてあんな場所にイルミネーシヨンが、までは理解できない。灯までは少し距離があって、燃えているようなちりちりした動きに見える。慌ててカメラを提げて景色をと、構えた時は既にその半分は消えかかっている。撮影中もあちこちのかがり火は次々燃え尽きて消え失せる。
DPEにだした写真が戻って来た。薄暮の中での距離のある景色、完璧に捉えているとはいえないが、幻のような燭光をとらまえている。
重い雲が覆う空で、日没を迎えた太陽が水平線すれすれの位置まで降下した時、雲の隙間からつかの間顔を出す。この夕日の直線的な光が、ヨットのアルミでできたメインマストに反射してかがり火をともす。今日一日を輝き続けた南の島の太陽が、最後の命を振り絞る残照。長い日脚がマストを輝かせる。低いマストの先端は早く・・・高いものも時間差で消え失せる。
夜の帳の中でヨットクラブの照明が、ひと叢輝きをましている。
・・・・BE CONTINUE
| 固定リンク
「ロングスティ」カテゴリの記事
- 27) イラク戦争(2008.01.23)
- 25) 優しい時間 (移動遊園地)(2008.01.23)
- 34) 男子の本懐(2008.05.22)
- 35) あこがれ(2008.05.22)
- 47) ビール(2008.06.28)
コメント