2-22) ノクターン
南の島でのデパートには思い出がある。
今でこそハワイで長逗留するが、若い頃は時間もお金も潤沢でなかったから、ハワイは「遠い夢の島」だった。その埋め合わせが香港だった。埋め合わせ? 2番目かというと、とんでもない。2〜3日休暇が取れれば香港へ通った。その頃は現地でビジネスクラスの航空券を買っていて、随時飛び立てる準備がしてあった。訪問も100回は下らないだろう。
'97返還前の10年間はクリスマスを現地で過ごすのが習慣になっていた。会社や仕事仲間も容認してくれていた。当時イギリスが統治していたから、西洋のお祭りクリスマスは大変賑わう。ことに街中のビルを飾るイルミネーションが、「Marry Charistmas」。そしてひと夜明けると、総ての飾りが「Happy New Year」に変わる。このイルミネーションを走る車中から見るとき、街中が花火の様相だった。
現地のレストラン・・・ミシュランの評価より「この店が世界一」だ。未だ凌ぐ店にはお目にかからない。店の名前は中国文字でパソコンでは書けない。とにかく通称「えびや」で通じた。ここでの恒例の忘年会、最初は参加者は数人の仲間たちで始まった。参加者が増えて、お世話をしたこともあったが・・・・後は現地集合・会費¥5000。中華料理の山海の珍味をたべる・・・「高くて美味しい」は当たり前という、うるさい関西人が随時・・・30名が集まった年もあった。忘れられない思い出話の一つだ。返還後この店を尋ね歩いたがとうとう消息不明・・・・「ハワイ夢のまにまに」にたびたび香港が登場する由縁だ。
香港が南の島というと異論があるが、間違いなくハワイと同緯度の半島と島だ・・・・
最初は香港の「レーン・クロフォード」・・・香港島のフエリーターミナルから、上環(Sheung wan)の雑踏を掻き分け通り抜けて、山側クイーンズ通り西側にあった。特徴は英国そのもの、欧州系ブランド品などが揃っていて、垢抜けた商品構成が評判だった。ダンヒルやアクアスキュータムやイタリア製の靴などここで買い求めた。往時は日本のデパートの進出も無く、まして混沌とした香港、どちらかというとアジアの濃密な空気の充満する中で、ここの店内は空気から違った。
中低層の店内3階に香港では珍しく陽が差し込む一郭があって、いかにもヨーロッパ風のデリカテッセンと併設されたカフェテリアがあった。「物販」は目の保養にはなっても手の届く価格帶で無かったから、このカフェテラスは街歩きに疲れたときの恰好の「止まり木」だった。この時代の「食べ歩き」と「見聞」は後々いろいろな場面で話題と人間関係を豊かなものにする。
仕事上で関東の某企業の若社長と、ひょんなことで「レーン・クロフォード」の話題が出る。これがきっかけでその後急速に親交が深まり、後後の大商談につながったこともある。香港様様・・・・横道にそれた・・・・
わたしたちがハワイに居を構えたのは1997年、これも偶然香港が中国に返還された年だ。香港への思い入れを断ちきった時やも知れぬ。宗旨替えを「わるい女と手を切った」趣味の良くない冗談を飛ばしたこと・・・いまも相変わらず未練断ち切れずにちょこちょこ足を運ぶのも「女性関係」に似ている。しかしこの方はワイフ同行が多いから・・・・
<ハワイ、その頃アラモアナのデパート群はSear's ・ JCペニー・リバティハウスの3店、しかもリバティが一番近くで行き易かったこともあるが、この店だけがメインランドのビッグストアーと少し趣を異にしていた。最初の出会いはグァム店だった。明るい日射しの差し込む低層、時間に追われて見回る要もなく、「癒しの時」がゆっくりと流れていた。この方はいかにも「島のデパート」という感じがしてすぐに好きになった。
ハワイの店もローカルの雰囲気が心地よかった。そういえば「The GAZEBO」というカフェテリアがあった。香港のレーン・クロフォードを彷佛させた。チーズや生ハムやパテ、総菜などテークアウトのできる食材も、デリカテッセンと呼ぶに相応しいものを揃えていた。土曜日の昼下がりはピアノ音が・・・・・エスカレーターの吹き抜けを通して・・・・静かに、時に、強い音が・・・・響く。
すぐに「お気に入りの場所」に、マツキントッシュならハートマークをクリックして登録というところだ。
ハワイで生活するようになった当時は、今ほどパシフイックリムやハワイクィジーンの有名店もなく、ここが恰好の食事場所だった。白とグリーンのチェツカー・フラッグをイメージした席から・・・最上階の天窓から常夏の青い空が広がっているのが見えた・・・・この席もよく使った。後にこの場所はなくなったがダウンタウン店に名前だけが残っている。そこを見る度に私自身が過ごした日々が、既にハワイの歴史の中の一コマになっているという感慨に浸る。
2001年6月19日、メイシーズの親会社であるフェデレーティッド・デパートメント・ストアーズ・インクは、ハワイ最大の小売店であるリバティハウスの買収契約に同意したことを発表した。これにより、ハワイの小売店業界が新しい時代を迎えることとなった。この契約は7月の半ばには完了する見込みで、これにはハワイの11店舗のデパート、7店舗のリゾートショップや各種専門店、そしてグアムのデパート1店舗が含まれる。リバティハウスは今後メイシーズのウエスト・ディビジョンに属し、完全にメイシーズの名前を受け継ぐことになる。(記事より)
02年すっかりMacy’sに名をかえた。階上からピアノの音がもれる。地下にいても音が聞こえるほど力強い。LEBATY HAOUSが売却されたが、週末の習慣は踏襲はされているようだ。ビアニストの弾む心まで伝わるようでほっとする。隣接するレストラン「パイナップル」は昼間の食事客で賑あう。
ノクターン、ピアノ音はいかにもハワイの明るさを感じさせ、屈託のない午後の時間が店内に流れる。
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