ロングステイ

1) コンドミニアムを探す

ドアを開けるなり「買った」
友人からの紹介で・・・・30年前ハワイのコンドを買った時のことを、雑誌に高峰峰秀子さんが書いている。20Tのリビング・ダイニング、10Tの寝室、8Tの書斎、バストイレ・・・

ハワイで数年探していた。こちらは「予算もあってもう少し慎重だった」と云はないと嘘になる。
仮にも外国で住処を探す・・・外国人が現地の不動産を所有することができるのか? の初歩的疑問から始まって住むための要件を満たす・・・ 日本人としては何が望ましいのか? ハワイは治安の良い土地ではあるが、それでもセキュリティという条件は欠かせぬ。

現地の友人に世話になって数回足を運び、大体「アラワイ××」に部屋を決めていた。
家族がそろう1997年夏、最終手続きでハワイを訪れた。

私の条件「予算」が頚城になって望めぬものがあった。「アラワイ」の契約前にぜひそれを見たいと,不動産屋にお願いする。今からご覧になる物件は「あなたのご予算ではむりですょ」と念が入る。
こちらも後学のためと気楽な気持ちでのぞむ・・・・

2007年景気が回復してきて、ハワイは新しいコンドミニアムの建設ラッシュ、これに「コンドテル」というシステムを加えると、見るだけでも大変な数のコンドがある。さすがに当時それほど数は無かった。
ハワイで一番良いコンドを上から順次見て回る。

山側日本企業がバブルに乗っかっての狂ったような建物、バブルがはじけても3億円・・・・場所は海からほど遠い街なか、今見てもなぜこんな場所にと思える立地だ・・・・・

NO1といわれたNタワー、これは興味津々でトライした。 アジアのホテルに見られるような大理石に囲まれた部屋は、住居というよりオフイスに近い感覚で落ち着かない。大きいはめ殺しのガラス窓、とにかく眺望はすばらしい。ガラス部分が大きいだけにラナイ(ベランダ)の一部オープンしているが、西日をまともに受ける部屋は暑くて困る。特別太陽の光が強いハワイで、最近たてられたガラス張りのコンドはどうしてか理解に苦しむ。「夏をむねとすべし」という日本の住居への戒めがある。 太陽さんさんのカリフォルニアでは日を遮る場所が高い土地と何かで読んだ。

ILホテル・・・前述の「ホテルコンド」のはしりともいえる。角部屋有効面積も広くて使いやすそう・・・・窓からの景色はワイキキの山並みが見える。 自分たちが使わない時はホテルの部屋として運用される。 それだけに知らないひとが自由に出入りできる。どうしてもセキュリティの質は落ちる。

ハワイにセカンドハウスを所有するひとは少なくない。ただ「運用」を目論んだものも多くて、実際に住まいとして使うひとは限られる。そんな昨今のニーズで生まれたのが「コンドテル」だ。こちらはコンドに投資する。投資した部屋は1年のうち、3ヶ月とか半年とかを自分が使う権利がある・・・使用しない時期はホテルの部屋として運用にまわす。どちらかといえば金融商品だ。
ついでにいうとリゾートホテルの「タイムシェアー」はまた違う。こちらはコンドを1年52週を週単位で購入する。1週だと購入価格も経費負担も52分の1で済む。もちろん経費も分担額に応じて支払う。

YHタワー・・・・これにまつわる知識は皆無だった。ショーイングできる部屋が4室あった。一番高い階は鍵が無く見ることできなかった。これを見ていたらもっと高い階に決めていただろう。

ドアを開けた・・・・正面の強い光が差し込んでいた。窓の外にヨットハーバーが・・・・マジックアイランド(公園)が眺望る。有無を言わさぬ何かが・・・・「これに決めた」息子がいい放つ。家族全員の総意を代表していた。

前に建物が建たぬとか・・・SCに近いとか・・・・セキュリティが良いとか・・・・予算とか・・・・それまで考えてい条件諸々は頭から吹っ飛んでいた。

あれから10年が過ぎる・・・衝動にかられ「これにしょう!!」と、ドアを開けるなりここに決めた。高峰秀子さんと同じ経験を今も悔いていない。

滞在中の3才の孫娘が「隣のトトロ」に夢中、わたし「隣のアラモアナ」も好きよ・・・と今日もバーナーズ(本屋)へ出かけている。

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3) ようこそハワイへ

ようこそハワイへ

21世紀を目前に控えてさすがに飛行機もFirst Classから、便宜上作られたBusiness Classというのが主流になりつつある。充分後ろに倒れる広めのシート、上下するフットレスト、この両方を使えば結構睡眠も取れる。長距離を飛ぶ時、例えば日本からアメリカの東海岸や、ヨーロッパの国国への旅には快適で贅沢な空間である。

一般客より早目にシートについて、出てくるシャンパンを飲む。適当に冷えたグラスの中で、こはく色の液体に数条透明な泡がはじける。ある種の予感、これから始まる旅へのあこがれと期待、その序曲にふさわしい一瞬を実感する。グラスの回収と時同じくして機は飛び立つ。日常としがらみを切り捨てるように機は急角度で上昇を続ける。旅の始まりこの一瞬は捨て難い。

ハワイへの旅もこんな手順ではじまった。何回か行く内にライフスタイルが変わる。無駄をそぎ落とす。けちになることとは違う。ディスカウントチケットが氾濫している時期はこちらを選ぶ。経験的に見て安いチケットの氾濫は、それだけ飛行機に空席があるからだ。私は5席・ワイフなら3席を確保して、食事を拒否してでも早々に長長と横になって寝る。

日本の何処の空港から飛び立っとしてもハワイへは、夕刻から午後10時頃までに飛行機は出発する。ハワイまでは7〜8時間機中で遅い夜食をとり、興奮して眠り損ねると機窓が白みはじめる。高度1万メートル空には決まって雲一つない。白みはじめたとはいえ未だ夜の帳が残る空は、漆黒からグレー、濃いブルーへとどんどん色を変える。
 
「東方」、ほのかに染まる紅、地球の自転に逆らって東へ向かって飛ぶ飛行機が、夜明けというドラマのスピードを倍加させる。紅はまたたく間に明るさと色の濃さを増す。夜の帳が押しやられた空はもう真青、紅はもっと濃い茜色に変わる。この辺たりが夜明けのドラマのクライマックスだ。
 大空に描かれた色彩の洪水、一瞬茜色の一角がはじけて金色の光が目を射る。当然経験したことはないが、極楽浄土への到来を想像させる。
「太陽のお出迎えだ」
季節によって多少時間が違うが、ショウの終演は飛行機のハワイ到着が近いことを知らせてくれる。


大空でのショーは観客に過ぎなかったが、ここからはあなたが主役だ。時差との関係で到着は現地の早朝、早朝は常夏の島での至福の時間だ。機から解放されたあなたは、空港内移動の手段として乗るトロリーの窓から吹き込む甘い花の香を含んだ心地よい空気包まれる。ハイシーズンには少し時間がかかる通関の手続きを万事終えて、お出迎かえのガイドからレイをかけられたら、もう「天国」への到来を実感できるだろう。
空港を出たら早朝驟雨に洗われた木々が、まだ露にキラキラ輝いている。

何処かの国の話。国境近くの峠に小さなトンネルがある。ここを通過するとき大きい荷物を持っては通れない。不要不急の以外のものはここで捨てる。という話がある。
そこに居合わせたわけではないが、その際どんな思いが交錯するのか。人によっては失うものに固執するあまり、人間としてのの尊厳を汚すこともままあろう。物質だけでなくここでは「我欲」まできれいさっぱりと捨てることができたらこれもまたすごい。人は時時こうして試される機会を持った方がいい。

ハワイへの道に人を試すトンネルなどない。滞在中は短パンにTシャツ、じゃぶじゃぶと洗って干せば明日は着ることができる。正装はアロハでよいが、紺ブレが一着あれば通年これで通せる。もう少しお洒落がしたい女性ならそこら辺に咲く花を手追って髪に飾ればよい。背広を100着持っていたという文化や日常が恥ずかしい。
 
ハワイでの生活は、「日の出と共に一日が始まり、月の出と共に一日が終わる」というのだろうけれど、この美辞麗句は既に都市生活の埋没した人が想像で発する「ことば」だ。1月は新月、月が顔を出さない日々のあることをすでに都会人は忘れている。

コンドミニアムはワイキキへの主幹道、アラモアナブルバードとアトキンソン通りの角に建つ。目の前がヨットハーバー、横がアラモアナのショツピングセンター、これ以上恵まれた地のりはない。

コンドの玄関からショツピンクセンターへは、アトキンソン通りを横切ることになる。右へYMCAの前、左アラモアナブルバード交差点といずれも、15メートルとは離れていない場所に横断歩道と信号機がある。
買い物をして手が塞がっている時などつい横着する。横断禁止道路を「まあええか」と渡る。さすがに「(孫)と一緒の時は絶対横着はしないように」とワイフと勝手な話しながら・・・
強い 風が道路を吹き抜ける。手に持つ荷物を落とす。WOW WOW!!
 
車が駆け抜ける。「バカヤロ!!!!」一瞬でも通路を妨害された運転手は罵倒する。意地の悪い運転手なら警笛を鳴らしながら、禁止道路を渡る我々をどう喝する様に、直近をスピードを上げて駆け抜ける。地獄を見ることになる。「こわい!!!」


ここは天国、ゆっくりと車は止まる。気がつけばすでに数台が止まってくれている。対向車線も合わせると十数台、思わずぞれぞれの車に会釈をして急いで横断を終える。目の合った運転手いずれも穏やかな顔をして笑みさえ浮かべている。
 
恥ずかしさにおろおろする。汗が吹き出す。「神様は責めない!!」
天国のルール・・・もう私たち夫婦が横着することは絶対にない。

 

 

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4) ハローウィン

ハローウィン
今夜はハローウィン、ワイキキ・ヨット・クラブのバーに居る。

パーティ客が 三々五々集まってくる。既に仮装したまま車で乗り付ける人たち。仮装の衣裳と用具を持参した平服の人。バーに人陰がどんどん増えているが、到着後なかなか仮装に取りかからない「シャイ」も交じる。その気になるまでバーカウンターで、1杯〜2杯お酒が進む。気分が和む。
パーティは6時からと告示してあっても、そこはハワイ時間。誰も急ぐ風はない。

男性群に。怪盗ゼロがいる。黒い帽子に黒い衣裳、お決まりのアイマスクは、ナイスガイの顔が見えないから、友だち達がまごつくかもしれぬ。腰に「Z」とマーク、マークをを切り刻む剣が腰に下げられている。
腰といえば拳銃、カウボーイハットにジーンズ、首に巻くスカーフのいでたちにも抜かりない。小柄な連れ合いはカントリースタイル、フリルのついた前掛けは引きずる程長い。二人揃っての演出も心憎い。

「アラビアンナイト」は湾岸戦争の最中で人気には、少し陰りが見えるというのは思い過ごしか? 

白衣を着た医者、胸に聴診器がひかる。往診の途中と見える。医者が持つ黒いかばんが小道具として雰囲気をかもす。「はーい大統領」と見ている側が訳分からず思わず声を掛けたくなる。

女性はオペラのヒロインカルメンが早々登場する。お淑やかさの中に情女カルメンの風情がある主人公は、グラス片手に早くも社交に如才ない。

NY自由の女神は年端行かない女性、手に持つトーチが電池で光る。アメリカ人なら11/19日の鎮魂、NYヘの思いは苦い痛みが走るだろう。

ウエディングドレスも女性の仮装の定番、若い人がこれに挑むのは普通だが、おばあちゃんがの例もままある。これがまた愛嬌・・・若い花嫁衣装の仮装にお願いして、一緒に写した「記念写真」が一番多いのではないだろうか。

ハローウィンでアメリカ人の好きな魔法使いは男女とも必ずにいる。トンガリ帽子に黒い衣裳、箒でも持てばすぐに様になる・・・・・
     
それにしてもアメリカ人のこの稚気はなんや・・・・お金があるとか? 時間がないとか?人がどう思うかとか? 日本人もっと人生楽しみだという瞬間を積極的に作るべきだ。
自分達が自分のサイズにあった人生をたのしむ、それは人生を受動的に過ご すことではない。人生の今という一瞬を、愛おしむように生きる達人達のようだ。人生の達人達に神のお恵みを!!!!

私が決めたこの日のN01の登場、こうなると両親の仮装はほとんど印象にない。あまりに小さい赤ちゃんに「いつ?」ときいたら「24日」、生まれて3日しか経っていない。デリバリーを終えたばかりの赤ん坊を連れての会への参加はもう仮装という洒落ではない。日本なら親子共々産院のベツドで、未だ横たわっているところだろう。

「ご存じでしたか?」
つわりはMorning sickness   陣痛室はLabor Room(仕事場) 
分娩室がDelivery room(受け渡し所)・・・・ といいえて妙です。
これも旅で知る楽しみのひとつだ。赤ん坊を見ていて話が横道にそれた。
       
カルチュアショツクと感傷にふけっている場合ではない。おむつの交換する。適当な場所がないなら、舞台のそでにおいた打楽器「ボンゴ」の上で始末する。
「まな板の鯉」と「諦観と度胸の座った様子」を表わす言葉が日本にあるが、パーティ会場ボンゴの上でのおむつの交換の様子は、料理する側の印象が華奢な母親だけに、その胆力にはただただ驚く。

日没前出帆していったヨットも戻った。ぼつぼつパーティは佳境に入る。

おくるみに包まれた赤ちゃん、ほとんど小さな手荷物でしかない。彼がこの世で一番最初に出席したパーティはハローウィン。

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